脳外科疾患についての講演会を受講して
2021年4月17日マリンパレスさぬきにて香川県保険医協会主催の医科歯科合同セミナーが開催され、今年度より香川大学医学部脳神経外科学の教授に就任された三宅啓介先生に「脳腫瘍に対する最新の集学的治療―香川から世界に向けてー」をテーマにご講演いただきました。
私自身は同協会理事として講演会の運営も行いながら拝聴させていただきました。
ちなみに講演会の形式は新型コロナウイルス対策として感染対策を十分に施した会場とzoomによるオンライン配信を組み合わせたもので、私はオンラインで参加しました。
三宅先生は脳腫瘍、特に最も悪性度の高い膠芽腫をご専門とされています。
膠芽腫とは、細胞および組織形態、分子遺伝学的にも不均一性であることが特徴であり、手術、放射線治療、薬物療法を集学的に行うものの50%生存率は平均14か月と大変シビアな疾患であるとのことでした。
脳という特殊な環境に加え、浸潤性に増大することが生存率を下げる要因と考えられているそうです。
そのため香川大学では、悪性度の高い膠芽腫の予後を少しでも改善できるよう、まず5つのPETトレーサーを用いた詳細な悪性度の分類や病変領域の把握を行い、これらのPET検査の情報を用いたナビゲーションシステムと紫外線光により腫瘍を発光させる5-アミノレブリン酸(5-ALA)などを用いることで腫瘍の境界を把握し、腫瘍組織を最大限に摘出しているといった具体的な診断・治療方法についてご教示いただきました。
さらに最近では、血管新生因子阻害剤を腫瘍摘出前に使用し腫瘍の浸潤を封じ込めたのちに摘出を行うという新しい治療法を開発され、香川発世界初として行っているとのことでした。
悪性度の高い膠芽腫の予後を少しでも改善できるよう様々な取り組みをされていることがわかり、一県民として安心感を得たと同時に脳外科疾患に対する理解が深まり有意義な時間となりました。