「歯科医師が教える認知症予防シリーズ 〜口腔ケアから始める脳の健康〜」パート1

先日、一般社団法人 認知症協会の代表理事、山根一彦先生から認知症についての基本的知識や予防方法、そして認知症患者さんとの接し方について学びました。

わが医院のスタッフにもぜひその内容を共有したい!となっていたら、患者さんや他の医療従事者の方にも知ってもらいたいなと思ったので、続けてブログを書こうと思います。

僕の医院でも特に訪問診療を通して認知症の方と接する機会があります。何気に定期的にお会いする歯科関係者が何かの予兆に最初に気付くなんてことも。我々にとっても大事な分野であることは言うまでもありません。

そもそも認知症とは?
認知症は、日常生活や社会生活に支障をきたすほどの記憶や判断力の低下を指します。特に高次機能に障害が現れるのが特徴です。体に影響を与えるあらゆる要因が、認知症の引き金となり得ます。

主な認知症の種類

1. アルツハイマー型認知症
認知症の約7割を占める最も一般的なタイプです。特徴は、記憶力の低下や時間・場所・人に関する見当識の障害。また、周辺症状(BPSD)として、イライラや攻撃的な行動が見られることもあります。
最近、レカネマブやドナネマブといった新しい治療薬が開発されました。これらは抗体療法で、認知症の進行を遅らせるためにアミロイドβを減少させることを目指しています。


2. レビー小体型認知症
レビー小体が神経細胞にたまり、それが原因で細胞が減少することで発症します。レビー小体はパーキンソン病でも見られることから運動機能にも影響が出ることがあり、認知機能が変動したり、幻覚(特に幻視)が特徴です。周辺症状としては、レム睡眠行動障害が挙げられます。


3. 脳血管性認知症
脳の血管に問題が生じ、その周囲の神経細胞がダメージを受けることで発症します。突然現れることが多く、「まだら認知症」とも呼ばれ、階段状に症状が進行します。

 

認知症の進行と予後
認知症と診断されると、その後の余命はおおよそ10年ほどとされています。症状は数年をかけて徐々に進行しますが、早期の発見と適切な治療が生活の質を大きく左右します。

認知症は複雑で多様な症状を持ちますが、最新の治療法やサポート体制の発展により、今後の改善が期待されています。

次回はアルツハイマー型認知症の原因であるアミロイドβについて掘り下げてみようと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。