市民公開講座でお口と肺炎の関係についてお話しました!
11月13日、サンポート高松で開催された第31回日本呼吸ケア・リハビリテーション学会の市民公開講座で「口腔からはじめるフレイル予防と肺炎予防」と題して講演させていただきました。大会長を務められたKKR高松病院の森由弘院長先生よりご指名いただきました。このような大役に任命していただき大変光栄でした。
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会は急性、慢性の呼吸不全患者さんに対する呼吸管理について基礎的、臨床的な研究成果の情報交換の場として誕生し、現在では医師、歯科医師だけでなく看護師、保健師、理学療法士、作業療法士、臨床工学技士、栄養士、薬剤師、放射線技師、臨床検査技師、言語聴覚士、介護福祉士といったあらゆる関連職種従事者の方で構成され、呼吸ケアおよび呼吸リハビリテーションに関する医学医療の発展に大きく貢献している大規模な学会です。
今回の市民公開講座は高松市民の皆さまの健康増進の一助になればと企画され、「元気な肺で健康寿命を延ばそう!」をテーマにわたしを含め3人の講師によるリレー形式の講演となりました。
まず初めにご登壇されたのは東北大学環境・安全推進センター東北大学大学院医学系研究科産業医学分野教授の黒澤一先生でした。
黒澤先生は呼吸器疾患の権威であられ、NHKの健康番組やタバコの害をテーマにしたイベントなどで解説を務められる全国的に有名な先生です。
講演テーマは「息切れにまつわるタバコ物語」。タバコの発がん性についての研究の歴史やニコチンの脳活動への悪影響などをわかりやすくお話してくださり、また慢性閉塞性肺疾患(以下COPD)についてもわかりやすく解説してくださりました。
COPDは息切れや、長く続く咳と痰を特徴とする病気です。
ほとんどの場合タバコが原因で、その害が長年に蓄積して起こる病気なので、中年以降に症状が出てきます。
この病気の怖いところは、普通の風邪と思い込み病院に行かず、悪化したころには重症化しているというところにあります。
禁煙の大切さ、COPDを防止するための運動の重要性などについて教えていただきました。
黒澤先生がCOPDについてご解説されている動画を見つけましたのでシェアさせていただきます。
次にお話されたのは順天堂大学大学院医療看護学研究科臨床病態学分野准教授の佐野裕子先生でした。
佐野先生は女性理学療法士として看護学部で全国初の准教授にご就任された先生で、全国各地から講演依頼で引っ張りだこの先生です。
講演テーマは「動いて長生き!楽らく呼吸法とかんたんストレッチ」。先にご講演された黒澤先生のお話にもあったCOPDなどでみられる息切れ症状に関連した呼吸リハビリテーションの重要性についてお話してくださりました。
呼吸リハビリテーションとは、呼吸困難、それに伴う活動量の低下、食欲不振、体重減少、体力低下、不安や抑うつ症状などを改善し、QOLや健康状態を向上させる治療方法と言われています。
具体的には日常の様々な活動(歩行、階段昇降など)の際にも自分のペースを意識して呼吸をすること、鼻から肺を膨らませるように息を吸い、口をすぼめてゆっくり秒数を意識しながら息を吐くこと(無理のないリズムで)、そして腕を伸ばしたりすることで胸郭をしっかり広げるようなストレッチ方法などについて実演を交えて教えていただきました。
佐野先生が過去に呼吸リハビリテーションについてお話されている動画がありましたのでこちらも併せてシェアさせていただきます。
最後にわたしが「口腔からはじめるフレイル予防と肺炎予防」をテーマにお話させていただきました。当日お話した内容を少しご紹介させていただきます。
「話す」「食べる」といった口腔機能はわたしたちが生きていくうえで欠かせない機能です。このような口腔の機能が衰えた状態をオーラルフレイルというのですが、オーラルフレイルが進行すると食べる量が少なくなることで筋肉が痩せ運動能力の低下につながったり、会話がうまくできなくなり交流の機会が減少したりなど身体的にも社会的にも活動が低下してしまいます。また、「飲み込む」機能も低下することで誤って気管に物が入ってむせる「誤嚥」が起こり肺炎になってしまうことも問題とされています。このような機能の衰えを防止するために、普段から自分の口に関心を持ち、元気なうちから口腔機能を低下させないトレーニングを行うことや、歯を失わないようにするために定期的に歯科医院で歯のメンテナンスを受けることが重要であることをお話させていただきました。
講演後にはご来場いただいていた市民の方から、ご自身や要介護のご家族のお口についての質問をいただき、市民のみなさまがお口について高い関心を持ってくださっていることがわかりました。これからもブログや講演などを通して、口腔機能の重要性についてお話していきたいと思います。
ご質問がありましたらホームページのお問合せからお気軽にお尋ねください。
最後になりましたが、今回の講演にあたり快く資料を提供してくださった香川県歯科医師会と高松市歯科医師会の先生方に感謝を申し上げます。